2023/12/15、ディズニースタジオ100周年を記念した、ファン待望の『ウィッシュ』が公開されました
本作で監督を務めたのは、『アナと雪の女王』などを手掛けたクリス・バック氏です
映画本編の上映時間は95分とややコンパクトな作品です
私は現時点で吹き替えのみ12/16に鑑賞済みなので、
『ウィッシュ』日本語吹き替え版の感想として、以下レビューを読んでいただけると幸いです
※物語の結末や、核心に触れるネタバレを避ける形で記載しておりますが、未鑑賞の方はご注意ください
子供から大人まで幅広い世代がみんなで楽しめる作品
映画館には幅広い年齢のお客さんが入っていましたが、
小さい子供から大人まで世代問わず楽しむことができ、上映時間がコンパクトでストーリーも絵本を読んでいるかのようで理解しやすいので、
家族全員で楽しめると思いました
私も一人のオタクとして、ディズニーのこういうところが大好きなんだと、作品を通して何度も噛み締めることができました
ディズニーは本当に様々な切り口の作品を世に出しているので、
それぞれのファンの思う「ディズニーらしさ」は異なっていて、「自分の思うディズニー映画の好きなところ」も十人十色と理解していますが
それを前提として、私個人が特に本作でディズニーらしさ・ディズニー映画のこういうところが好きなんだよなと思えた瞬間は、
・『願い』というテーマから、歴代作品へのリスペクトが溢れていた
・美しく、耳に残る楽曲たち
・生き生きとしたキャラクターの表情
これらの3点です
ただ、私の中でもの足りないと感じた点を一つ上げるとするなら、
キャラクターそれぞれの掘り下げ不足のように感じられてしまった点かなと思います
一人一人に対して感情移入する前に展開が進んで終わってしまった感も否めないです
ディズニーが好きなオタクであれば、何度でも見返し、考え、時間をかけて味わうので
吹き替えで見て、字幕で見て、パンフレットも買って…というように、知識の補完ができます
一方で、初見で、ディズニー映画を思い立った一般のお客さんが、この90分間でどこまで落とし込み、感情移入できるかという点も、
エンタメとして大事なのではと思ったりもするわけです
結論、素直に私は好きですが、あまり刺さらなかったという意見が出るのもわからなくはなかったので、
いろんな人の意見を見るのが面白いです
◎歴代のディズニー作品へのリスペクト
SNSで多くの人が言及されている通り、多くのオマージュや、セリフの引用が隠れていて、それを探すことも一つの楽しみになっているかと思います
ただ単に過去作をまねているというのではなく、『ウィッシュ』という作品を通して、
ディズニーキャラクター一人ひとりが夢を見て、行動を起こすことで願いを叶えてきたというその過程そのものに対するリスペクトが籠っていると感じました
そして、作品全体を通して第一作の『白雪姫』へのつながりを感じさせ、本作がディズニー作品すべてのプロローグのようでした
夢は誰かに貰おうと待つのではなく、どんな結末が待っていようと自分で叶えていくという力強いメッセージそのものが、
歴代のディズニーキャラクター達がそれぞれの映画の中で願いを叶えてきた行為に対するリスペクトだと感じました
歴代のディズニーキャラクター達の行いと、『ウィッシュ』のメッセージが強い結びつきがあるからこそ、
オマージュが単なる羅列ではなく、物語の中で生かされていました
大人になった私の視点では、子供のころに見ていた夢は何だっただろうか、今の自分の夢は何か、
いつか叶えたいと思いながらも、心のどこかで諦めていないか…
映画を見ながら振り返り、今すぐ行動に起こしたくなりました
◎美しく、耳に残る楽曲たち
どの曲も耳に残り、映画を見てすぐに音楽を聴き直したいと思いました
生田絵梨花さんや福山雅治さんをはじめ、吹き替えキャストの力も大いにあると思います
たとえば、「ようこそ!ロサス王国へ」は『ミラベルと魔法だらけの家』での「ふしぎなマドリガル家」のようで、
物語の冒頭でロサスがどのような国かを紹介する歌です
明るく、華やかに物語の始まりを盛り上げていて、印象に残る楽曲です
中でもお気に入りは「ウィッシュ〜この願い〜」です
この楽曲は、主人公の願いへの想いの強さが増すほど歌が力強くなっていきます
歌詞の中で ”今日よりもっと輝く” がありますが、私はこの部分が一番好きです
人は時間の中で願いを忘れたり、諦めてしまうことのほうが多いのではと思う中で、
毎日願いながら、夢へ一ずつ歩んでいくことへの応援歌として、特に印象に残った楽曲です
日がたつほど願いへの強さを増すって、継続した努力だったり、日々の積み重ねだったりから生まれる考え方だと思うので、
実際にはすごく難しいし、だからこそ、この楽曲の考え方は尊いです
◎生き生きとしたキャラクター達の表情
次に印象に残ったのは、キャラクター達の体の動きや表情の表現です
特に私が今回取り上げたいのは、願い星「スター」というキャラクターです
ミッキーマウスをモチーフに作られたキャラクターというだけあり、愛嬌たっぷりで、
シンプルなキャラクターデザインでありながら、喜怒哀楽がコロコロと変化する、見ていて楽しいキャラクターです
特に、スターが口元を手で押さえ、ニコニコと笑うような表現は、
ミッキーが大きなグローブをはめた手で口元を覆いながら、クスっと笑う様とリンクしてほほえましかったです
起こった時にキッと吊り上がる目元も、ミッキーの起こった時に似ていて可愛かったです
ただ、スターは作中に一言もセリフを喋りません
それでも表情と体の動きで感情がしっかり伝わるキャラクターなので、スターの感情表現に終始目が釘付けでした
今回はスターをとりあげましたが、主人公アーシャのスカートなど、布のひらみや体のしなやかさが光っていたり、
マグニフィコ王のソロ『無礼者たちへ』でのキャラクターの善悪の感情への葛藤が、表情のコロコロ変わる様子よく出ていて
キャラクターの感情表現という点で高く評価したい作品だと思いました
△もっと個人の掘り下げが欲しかった
1点だけもう少し欲しかったなと思う点を挙げておきます
作品では、主人公とその友人たちから多様性を感じ取ることができますが、
単にさまざまな人種の人々が集まって暮らしている様を描くのではなく、
白雪姫の7人の小人を想起させるように、7人も友人を登場させたのであれば、
キャラクターそれぞれの掘り下げがしっかりあると、それぞれがどんな人かわかるので、個人への感情移入ができて良かったのではと思いました
単なるモブというほどではないですが、アーシャの友人たちがあと一歩前へ出て物語を引っ張る役割を担えたら、物語にも厚みが生まれた気がします
もっと言うと、主人公やマグニフィコ王ももっと掘り下げてよいと思います
(※ここでは純粋に、このキャラがどんな子なのかをもっと見せてほしかったなというだけで、
身体障がいを持つキャラクターや、アレルギーを持っているキャラクターなど、マイノリティも登場している中で、
彼らが、その個性を持っているという理由付けをしてほしいということではないです
むしろ、その辺の説明がないほうが自然ですし、当然のものとして共存している王国の様子が見られるほうが
国の平和や美しさが感じられて好感が持てます)
ともかく、余白のある状態で想像に任される部分もあるので、ここで評価の良しあしが大きく割れてしまうのかなと感じた次第です
まとめ
いろいろ書きましたが、お気に入りのシーンや好きな楽曲が新たにたくさんできたので、
なんらかのディズニー作品に思い入れがあるという人は見に行くことをお勧めします
個人的に100点満点ではないけれど、上映時間中もずっとワクワクしましたし、ラストは涙が出ました
ディズニー100周年という記念すべき瞬間をリアルタイムで立ち会った記念に、
皆さんもぜひ劇場で『ウィッシュ』を鑑賞してみてください
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